千葉県我孫子市と民藝運動:我孫子と柳宗悦と白樺派
我孫子市
我孫子市は、千葉県北西部に位置する、自然と文化の魅力が詰まった街です。特に、手賀沼が広がるのどかな風景や、文学や芸術に縁のある歴史が特徴です。市内には美しい自然環境があり、都心からのアクセスも良いため、週末にリフレッシュを求めて訪れる人も多くいます。
我孫子市のシンボル的な存在が手賀沼です。手賀沼周辺は豊かな自然に囲まれており、ウォーキングコースやサイクリングロードが整備されているため、湖畔をのんびり散歩したり、サイクリングを楽しんだりすることができます。
柳宗悦(やなぎ むねよし、1889年 – 1961年)
柳宗悦は日本の思想家であり、民藝運動の創始者です。彼は「美は生活の中にあるべき」という思想を持ち、日常生活で使われる工芸品の美しさを追求しました。その活動は、日本国内外で民藝(みんげい)運動として広まり、現在も多くの工芸分野に影響を与えています。
柳宗悦と我孫子
1914年(大正3年)2月、柳宗悦は声楽家の中島兼子と結婚しました。同年9月、宗悦の叔父である嘉納治五郎が千葉県我孫子に別荘と農園を所有していた縁で、夫妻は我孫子に移住しました。
柳宗悦は、我孫子に約10年間滞在し、白樺派の文学者や芸術家たちと、日々の生活や作品に関して多くの議論を交わしました。
柳宗悦は、我孫子での生活の中で、「日常の中に潜む美」への着眼を深めていきました。この経験が、後の民藝思想の基盤となり、「用の美」という視点を見出すきっかけとなりました。
白樺派
柳宗悦は、20世紀初頭の日本で活動した文学・芸術運動のグループである白樺派のメンバー、志賀直哉や武者小路実篤らを強く誘い、白樺派文人たちは我孫子の地で創作活動を発展させました。
白樺派は、人道主義や個人の自由を尊重する思想が特徴で、主に1910年から1923年まで発行された文芸誌『白樺』を中心に活動しました。このグループには、志賀直哉、武者小路実篤、有島武郎、里見弴など、多くの文学者や芸術家が参加し、彼らの活動は日本の近代文学や思想の発展に大きな影響を与えました。
バーナード・リーチ
バーナード・リーチ(Bernard Leach, 1887年 – 1979年)は、イギリス出身の陶芸家で、日本の民藝運動にも深く関わった人物です。リーチは、日本とイギリスの陶芸文化を融合させ、東西の美意識をつなぐ「橋渡し役」として知られています。
幼少期に日本で過ごしたリーチは、教育を受けるためイギリスに帰国しましたが、1909年に再来日し、生涯の友となる柳宗悦をはじめとする白樺派の青年達と交流を持つようになりました。
1916年、リーチは柳宗悦との交流をきっかけに我孫子を訪れると、志賀直哉、武者小路実篤などとも芸術や文学、思想を語り合う場が形成されており、この自由で文化的な雰囲気に惹かれたリーチは、3年間我孫子に滞在し、創作活動を続けました。
白樺文学館
白樺文学館は、白樺派の文学者や芸術家たちの活動を紹介する施設として、2001年に佐野力氏が建設しました。
住所
千葉県我孫子市緑2の11の8
アクセス
JR我孫子駅南口より徒歩15分(1.2キロメートル)
JR我孫子駅南口よりバス 5つ目の停留所:アビスタ前下車 徒歩2分)
入館料
一般 300円、高校生・大学生 200円
団体(20人以上の場合) 一般 240円、高校生・大学生 160円
我孫子市白樺文学館基金
我孫子市白樺文学館の事業の充実を図るための基金として令和5年度から設置されました。
文学館の設備リニューアルなど、我孫子市白樺文学館の充実に関する事業のための基金です。
募金方法
白樺文学館、我孫子市教育委員会文化・スポーツ課内に募金箱を設置するほか、白樺文学館が主催するイベントなどでも募金箱を設置しています。
また、我孫子市教育委員会文化・スポーツ課の窓口でも対応していますので、お気軽にお問い合わせください。